座頭市は幼い頃の思い出を忘れかね、今は見えぬ目ながら初日の出を拝もうと妙義山に急いでいた。途中ふとしたことから新助と名乗る旅人から手紙をことづかり、笠間の宿の旅籠、むさしやの女中お仙に屆けた。市はそこで行方知れずの父を訪ねる、お咲に會った。一方土地の親分甚兵衛(wèi)は蕓人たちの足元を見て、ショバ代を四分六で寄こせと難題を吹きかけてきた。宿の蕓人達は怒ったが、代官、加島と結(jié)びついた二足わらじにはどうすることもできなかった。そんなある夜、むさしやに新助が舞いもどった。新助は、代官甚兵衛(wèi)の命令で、江戸へ強訴したお咲の父を殺した。しかし代官に通じてあるという甚兵衛(wèi)との約束は被られ、追手におわれて宿に逃げこんだのだった。しかし非情な甚兵衛(wèi)は、そんな新助をめった斬りにした。ふとしたことからこれを立ち聞した市も何も知らないお咲に真相を打明ける勇気はなかった。そんなある日...